来年のカレンダーご案内のハガキに載せた写真と同様。 「アッ」 という間に一年が過ぎていく!
人が投稿した、素敵な文が読める新聞は楽しい。78歳の男性からの 「険しい峠道の支え」、
以下全文。
高校時代、私は自転車で通学していた。山に囲まれた盆地の村に住んでいたので、峠を超えて学校に通った。 かなり険しい山道で、峠までは自転車を押して40分ほどかかる。峠は山道の中ほどにあるので、帰りも40分ほど自転車を押して上がることになる。舗装されておらず石ころだらけの道で、よくパンクもしたし、タイヤも傷んだ。 その頃、私は同じ高校の少女にひそかに思いを寄せていた。遠くから見ていただけで名前も知らず、話したことも勿論なかったが、学校の音楽会で「クシコスの郵便馬車」という曲をピアノで巧みに弾くのを見て、心惹かれるようになった。
峠道を一人で上る時はいつも、ピアノを弾く彼女の真剣な表情や、友達と楽しそうにはしゃぐ姿を思い浮かべた。おかげで険しい峠道も苦にならず、それは心の安らぐ時間だった。 先日、しばらくぶりで、その道を車で走った。道はすっかりきれいに舗装され、助手席には妻がいた。
高校時代を思い出して、胸の鼓動が少し高まったような気がした。妻は 「なつかしいでしょう」と言った。 私はちいさくうなずいた。